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霧生氷雨の日常と襲撃

定期更新ゲーム【False Island】に参加中のキャラ、霧生氷雨(790)の日記まとめ+αを目的としたブログ(っぽいもの)です。

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氷雨日記(44日目)

Episode44



「しかし、それにしても大変な戦いでしたわね…」

「エエ、大変ナ戦イデシタ」

「さすが宝玉の守護者に選ばれただけのことはあり…今まででもっとも厳しい戦いだったのである。
 烈火のイガラシ…我はその名を生涯忘れることはないだろう」

「ああ…まさに紙一重の勝利だったぜ。
 まったく、首の皮一枚の戦いとはまさにあのことだ。
 皆のサポートが無かったら、今頃アタシは生きてはいないだろう…」

「ですが、結果としてあたくしたちは勝利し、こうして火の宝玉を手に入れることができましたわ。
 まずはその事実を喜んでみませんこと?」

「そうだな…。
 それにしても、イガラシがアタシたちに対して披露した数々の剣技には心の底から驚かされた。
 戦闘開始と同時に見せた、あの軽やかな舞のようにすら思える移動法 『紅天女』 、…あれには驚愕の一言だ」

「技と言うなら我はあれだ、剣の柄と鞘とを使用しての 『デス・クリムゾン』 が印象深かったのである。
 あの技を会得した際にイガラシは守護者として選ばれたというが、まさに然り」

「マサカ、アノ体勢カラ アソコマデ強力ナ一撃ヲ繰リ出シテクルトハ…」

「いやいや…剣の刀身、その伸縮を自由自在に出来るというあの刺突技 『スカーレット・ニードル』 こそ、アタシにとっては脅威以外の何物でもなかったよ。
 なにせ固定された剣でありながら、間合いの計りようがないってんだからな。
 あの時、偶然アタシの立っていた足場が崩れていなかったらと思うと、ゾッとするぜ…」

「決まるかと思ったあたくしの一撃を完全に見切ったあの受け技 『レッド・ホットチリペッパー』 も圧巻でしたわ。
 あの年齢で、しかも恐らく他の冒険者の皆さんの相手もしていたはずの体でありながら、あれほどの動きを見せるなんて…。
 勝ちはしたものの、あたくしたちは恐らく彼の恐ろしさの一分も味わってはいないんでしょうね…」

「そうだな、正直言って勝った気が全然しない…実感が本当にない。
 今回の戦いは、残念ながら運が良かったとさえ言えないぜ…」

「まったくもってその通りである。
 我等はただ、負けなかったというだけに過ぎぬ…」

「そして何よりの白眉は、言うまでもなく…
 莫大な炎の魔力を内包した『火の宝玉』があったからこそ実現したあの奥義 『多重領域・フレイムタン』 だろうな。
 まさか、どこにでも売ってるただの剣だと思っていたイガラシの剣に、あんな利点と特性があったとは…夢にも思わなかったぜ。
 使い方次第じゃどんななまくらでも名剣になると聞くが、それどころじゃねえ…。
 アタシは改めて、宝玉守護者の恐ろしさを思い知ったような気がするぜ」

「ソウデスネ。イガラシサンノ剣ハ 空ニ浮カブ太陽スラ切リ裂クトイウアノ噂、本当ノ事ヲ言ウトボクモ信ジテイマセンデシタガ…見込ミガ甘カッタデスネ。
 アノ奥義ナラ、ソレモ不可能デハナイノカモ知レマセン」

「しかしッ! しかしであるッ!
 過程はどうあれ、我等は結果として、その宝玉を手に入れたッ!
 『参式・影屠り』 から 『漆式・桜花七曜』 への見事な連携…
 そこで生じた一瞬の隙を突いて放たれた 『奥義・天狼天刃唯牙独葬』 …しかとこの目で見せてもらったのである!」

「ああ、そう言われるとちょっと照れるぜ…。
 しかし、それにしても奴が死に際に言っていた台詞が気になるな。
 この宝玉が守護者…魔王や隠者の『遺品』だとは、いったいどういう意味なんだ?
 イガラシは、自分のことを出来損ないの失敗作だと言っていたが…」

「分かりませんわ…イガラシが何者かの命令で宝玉を守っていたこと自体はまず間違いないとは思いますが、ひょっとすると、彼には彼で、あたくしたちには思いもよらない、よんどころない事情があったのかも知れませんし。
 …それも、彼の言葉を信じるなら、探索を続けるうちに明らかになるでしょうね」

「エエ、『火の宝玉』モ コウシテ無事ニ、割ルコトモ壊スコトモナク、傷一ツ付ケズニ蒐集スルコトガデキマシタ。
 …コレデ宝玉モ3ツ目。
 少シハ ゴールニ近付イタノデハナイデショウカ?」

「気持ちは分かるが調子に乗るもんじゃないぞ。アタシたちの旅はまだまだこれからだ…。
 さて、新しい宝玉の守護者の情報も入ったことだし、景気付けにもう1つ、宝玉を手に入れるとしようか」

「うむ、了解した。
 我も異論はないのである」


そうして、彼ら4人は互いの腕と腕をぶつけ合う。
苦しい戦いを経て、彼らの絆はより強固なものとなった。
お互いの背中に信頼を覚えながら、彼らは戦場を後にする…。

次の目的地はB1F南東にある森林地帯。
蒐集対象は、持ち主に絶対無双の防御力を与えるという『地の宝玉』。
対戦相手は獣使いの少年・ペリケペルカ。
果たして彼の実力はいかほどのものなのか…?


…とは言え、氷雨は密かに思うのだった。
火の宝玉守護者・烈火のイガラシ。
確かに強敵だったが…それでも「あの男」ほどじゃなかったな、と。



(to be continued)
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  1. 2008/06/25(水) 09:42:29|
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氷雨日記(43日目)

Episode43



水の守護者・アリッサとメグリアから『水の宝玉』を、風の守護者・疾風のエリザから『風の宝玉』を、それぞれ手に入れた私達は3つ目の宝玉となる『火の宝玉』を求め遺跡内を彷徨っていた。
勿論、この広い遺跡内を当ても無く彷徨っていたのではいつまで経っても目的には辿り着けないだろう。

だが、私達には確信があった。
火の守護者はこの近くにいる…と。
……「共鳴干渉」とでも言うのだろうか。
どうやら宝玉同士には引かれ合う性質があるようで(スタンド使いが引かれ合うのと同じ原理なのかな?)、既に手に入れた2つの宝玉の輝きに従い、私達はこの森林地帯に足を踏み入れることとなった。

そして、目的地に近付くにつれて…なるほど、確かにこの場所に火の宝玉があるのは間違いないようだ、明らかに空気中を漂う火の魔力密度(マナ)が濃くなっているのが分かる。
私の中に封印したはずの火の魔力が静かに体内で騒ぎ出すのが感じ取れる…。
どうやら…かなりの力の持ち主のようだ。
今までに戦ってきた宝玉の守護者も強敵だったが、今回の相手はそれを更に上回る実力の持ち主のようだ。
そこまでハッキリと断言できるぐらいに、徐々に存在感を増し強くなっていく火の魔力を全身で捉えながら歩いているうちに…どうやら一旦森を抜けたようで、周囲が拓けた場所に出る。
眼前には高く切り立った崖がそびえ、どうやらここで進路を大きく変えて進まなくてはいけないらしい。

…と、その時、頭上からノンビリとした声が響いた。


 「これはこれはまた随分と素敵なお客さんのお越しだな!」


切り立った崖の上に…何とも派手な男が座っている。
ボサボサの黒い短髪、黒いサングラスに派手なアロハシャツ、黒のジーンズ。
緊張感の欠片もない気の抜けた笑顔でこっちを見つめて笑っている男。

…だが、そんな外見とは裏腹に、予想以上の高濃度の火の魔力が男の全身を包んでいるのが見て取れる。
どうやら…ビンゴのようだな。


 「はは…しかし本当に来るとはな、全く欲の強いお嬢ちゃん達だぜ。
  いよッ! さて…太古の記憶が眠るこの地にようこそ♪」


男が崖から飛び降り着地するが、バランスを崩す。


 「ととっ…ふぅわぁ危ねぇ危ねぇ…もう歳かねぇ。
  …あーっと、俺はイガラシっつー…まぁ下っ端だな、うん。
  訳あって、つーか偉い人の命令で、ここの宝玉ってのを守ってんのよ。
  あぁ、宝玉ってのはえぇっとー……」


気の抜けるような口調で喋りながら、イガラシの手が崖に触れると手がスルリと崖の中へと入っていく。
そして引っ込められた手には…紅く焼けた小さな石が握られていた。


 「ま、お嬢ちゃん達は既に2つ…うーん……風と水かな?
  もう宝玉を手に入れてるみたいなんで、わざわざ説明する必要は無ぇよな」


ニヤニヤ笑いのまま、イガラシは手にした宝玉をアロハシャツの胸ポケットに仕舞い込む。


 「お嬢ちゃんたちみたいな美人さん相手なら、本当は大サービスでプレゼントしちゃいたいところなんだが、
  こっちも一応仕事なんで…許してくれな。
  サボってばっかだとコワーイ上司に怒られちまうからよ!
  
  さて…こっちが広いんでこっち来なッ!」

  
言いつつ、イガラシはひょいひょいと身軽に岩山を登っていく。
私達も彼の後を追うように、何とか登りやすそうな箇所を見つけて岩山の頂上へと辿り着く。
一足先に到着していたイガラシは準備体操をしながら、改めて確認するかのようにこちらを見つめて口を開く。


 「お嬢ちゃん達は目的があってこの宝玉を集めてる。
  そして、俺はこの宝玉を守り抜くのがお仕事。
  だったら、話は簡単だよな……そう、俺を負かしたら宝玉をやるよ。

  ただ…あれだよな…。
  流石にそれだと俺の方がちょっと貧乏くじ引いてると思わないかい?」


先程よりも一層気の抜けた笑い顔を浮かべ、こちらをジロジロと舐めるように見回す。


 「よし、じゃあこういうのはどうだい?
  お嬢ちゃん達が勝ったら、俺は素直に宝玉を渡す。
  その代わり、俺が勝ったら一晩付き合ってもらうぜ♪」


…は?
いきなり何を言い出すんだ、この男は。
服装だけじゃなくて、頭の中までおめでたいようだな…まったく。

どうやら、仲間達も同じ感想を抱いたらしい。
真っ先に比和が嫌悪感も露に口を開く。


 「ふん、汚らわしい目で見ないで下さる?
  貴方の様な下郎…すぐに跪いて許しを請わせて差し上げるわッ!」

 「はねっ返りのじゃじゃ馬お嬢様か…。
  いいねいいねぇ、おじさん興奮しちゃうよ。  
  こいつぁ…今晩が楽しみだな♪」


一拍遅れて、比和の台詞に続くように侍悟郎が続ける。


 「随分と失礼かつ尊大な物言いであるな。
  まるで、我等が負ける事が確定しているようなその台詞…
  今更撤回しても遅いのである!」

 「そこの丸いのは別に今晩付き合ってくれなくてもいいんだが…
  まあ、薪割りは得意そうだから、精々頑張って働いてもらおうかな」


大きな溜息を吐いて、首を竦める仕草をしながら呆れた口調で月草が呟く。


 「全ク…ドウシテコノ遺跡ノ中ノ人達ハ、揃イモ揃ッテ変態サンバカリナンデショウカネェ…?
  マア、ドウセ宝玉ハ頂クコトニナルデショウカラ、夢クライ見サセテアゲマスヨ(ニコリ)」
    
 「ん、そっちのお嬢ちゃんもちょっと顔色悪いけどなかなか可愛いじゃねぇか。
  よーし、おじさん張り切っちゃうぞー♪」


…どんだけ節操ないんだよ、こいつは(汗)。
さて、順番的に私が何か言う流れだったし、こういう男には一言キツイ言葉でもかけてやらないとな。
そう思って口を開こうとした瞬間、イガラシが申し訳無さそうな顔でこっちを見つめて先にこう呟いた。


 「あー、スマン…。
  俺、賞味期限の切れたものだけは食うなって、死んだ爺ちゃんに言われてるんだ」

 「…誰が賞味期限切れだぁッ!
  死ねッ! 今すぐそこで死ねッ!
  いや…やっぱ殺すよ、殺してやるよ。
  殺して 解して 並べて 揃えて 晒してやるよッ!」



そこまで一気にまくし立てて…イガラシがまたあのニヤニヤ笑いをしているのに気付く。
くそぉ…からかわれただけか…。


 「さて…どうやら契約は成立…ってとこかな?
  じゃ、まあ…お互いの利益のために…いっちょ始めますかッ!」


 「エエ、相手ニトッテ…」
 
 「不足はありませんわね…」
 
 「こちらも準備OKである…」

 「そうだな。
  こんな天気のいい日には、霧雨を降らせるのも……悪くない」


(to be continued)
  1. 2008/06/13(金) 23:37:47|
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氷雨日記(41日目)

Episode41



青い空。

白い雲。

 「…平和だなぁ」

ぽかぽか陽気に、そよそよと吹く風が肌に涼しく気持ちいい。
ここ最近、妙に暑かったり、長雨が数日間続いてジメジメしてたんで、久しぶりに快適な一日だ。
近くにあった切り株に腰を下ろし、荷物から水筒を出すと喉を軽く湿らせる。

今、私達がいるのは入り組んだ森の中。
本来だったら外敵の襲撃に備えて、ある程度は緊張感を持っていないといけないんだが、幸いにも周囲には特に危険な気配も無い。
休めるうちに休んでおくのも、戦いを有利に進めるためには重要なことだからな。

 「さて…今のうちに荷物の整理でもしておくか…。
  いざという時に、すぐに目当てのブツが見つからないんじゃマズイからな」

そんな風に独りごちながら、手近にあった岩の上に手持ちの荷物を広げる。

 簡易食料と水筒、応急処置用医薬品、最低限の着替えと化粧品、
 予備の戦闘用メス、遺跡内で拾った各種素材、暇な時に読む文庫本 …etc

どうしても動きが鈍くなっちまうんで荷物はあまり増やしたくないんだが、それでもこうやって並べてみると…案外ゴチャゴチャしてるな(苦笑)。
苦笑いを噛み殺しながら、それらの荷物を丁寧に整理してしまっていく。

そこでふと思いつき、白衣の胸ポケットから一輪の花を取り出すと、文庫本の間に挟んで栞代わりの押し花にしてみる。
…遺跡外に出たらきちんと加工してやらないとな。

 「それにしても… 『あなたと共に』 か。
  …ったく、嬉しいんだか恥ずかしいんだか…複雑な気分だぜ」

その花をくれた少女の笑顔を思い出しながら、森の中を吹き抜ける心地良い風を全身で受け止める。

 「ああ…いい気分だな…」


(to be continued)
  1. 2008/06/04(水) 00:17:41|
  2. 氷雨の日記
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氷雨日記(40日目)+【二言で言ってみよう企画 『つうかあ』】

Episode40



夢を見ていた。

 ”彼女”には、今、自分が夢を見ている事が分かっていた。
 そして、夢の中で”彼女”はただの傍観者だった。
 自分が、夢の世界で演じられる劇を観るだけの観客でしかないことも分かっていた。
 劇を演じる役者は”彼女”のよく知っている…いや、よく”知っていた”人物だった。



そして、”彼女”の前で幕が上がる…。


どこかの温室だろうか。
明るい日差しが窓から差し込む中、視界いっぱいに広がる色とりどりの美しい花々。
そんな花達に囲まれるように座る二人の少女。
激しく燃える炎のように鮮やかな紅玉(ルビー)の髪と、静かに流れる水を湛える蒼玉(サファイア)の瞳。
そして、お互いに向けられた笑顔も、ちょっとした動作の癖も、全てが同じ…まるで鏡に映した像のように瓜二つだった。

 しかし、傍観者たる”彼女”は知っていた。
 少女達が外見だけは良く似た姉妹であることも、しかしそれでいて内面は全く似ていないということも。
 物静かで落ち着きのある姉と活発でお転婆の妹。
 上品で女らしい姉と粗暴で男勝りの妹。

 そして、傍観者たる”彼女”は知っていた。
 いくら強く願っても、『妹』は『姉』に追いつけないこと。
 いくら強く想っても、『妹』の想いは届かないこと。
 いくら強く望んでも、選ばれるのは『姉』だということ。

 いくら強く憎んでも、『妹』は『姉』を愛していたこと。
 いくら強く愛しても、『妹』はどこかで『姉』を憎んでいたこと。
 全てを、傍観者たる”彼女”は知っていた。


そんな彼女の思いを他所に、少女達は幸せそうに笑い、はしゃぎ、楽しんでいた。
姉が妹の髪に白く小さな花を挿せば、妹は大輪の黄色い花を姉に捧げる。
そうして、二人で楽しそうに笑い、お互いの笑顔を見て再び幸せそうに微笑む。

白や黄色、桃色などの淡く薄い色彩の中で、少女達の持つ深い赤と青の存在は目立っていた。
恐らく、少し離れた位置からでもよく見えたのだろう。
一人の少年が手を振りながら少女達の下へと近付いていく。
少女達は、少年の存在に同時に気付き、そこで初めてはっきりと二人の表情に差異が生まれた。
嬉しそうに微笑み、薄い桃色に頬を染め、少年に向かって手を振る姉。
一瞬だけ嬉しそうな表情になったものの、少年に向かって手を振る姉の姿を横目に複雑そうな表情を浮かべる妹。

 ”彼女”の胸がチクリと痛む。

 そう、”彼女”は”知っていた”のだ。
 いつのことだったかは思い出せない。
 だが、いつだったか現実に起きた出来事…それだけは覚えていた。
 そういう意味では、これは『夢』というよりは『過去の思い出』という方が正しいのかも知れない。

 そう、”彼女”は”知っていた”のだ。
 どんなに想っても、『妹』の想いは『彼』には届かない。
 そして、『彼』は『妹』ではなく『姉』を選ぶ。
 どんなに想っても、”彼女”の想いは”あの人”には届かない。
 ”あの人”は”彼女”ではなく”彼女の姉”を選ぶ。
 ”あの人”は”私”ではなく”お姉ちゃん”を選ぶ。

 ”彼女”は思い知る。
 彼に対する想いの深さと、それに比例して大きくなる胸の痛みを。
 ”彼女”は思い知る。
 姉に対する尊敬と愛情、それに比例して大きくなる嫉妬と羨望を。
 ”彼女”は思い知る。
 どんなに似ていても自分は姉には追いつけない、姉にはなれない、
 姉には勝てない、姉には敵わない、姉には…姉には……。

 ”彼女”は思い知る。
 何度でも…何度でも……何度でも………。




ドウシテ ワタシハ オネエチャンジャ ナインダロウ…
ドウシテ ワタシハ オネエチャンニ ナレナインダロウ…

ドウスレバ ワタシハ アノヒトヲ テニイレラレルンダロウ…
ドウスレバ ワタシハ アノヒトニ エランデモラエルンダロウ…

ドウシテ…ドウシテ…

ドウスレバ…ドウスレバ…

ワタシハ…ワタシハ…



近付いて来る少年に振る手を止め、『姉』は『妹』に向かって何事かを問いかける。

 あれ? お姉ちゃんは この時 私に何て尋ねたんだっけ…?

近付いて来る少年を横目に見ながら、『姉』の問いかけに対して『妹』は困ったような表情で口を紡ぐ。

 あれ? 私は この時 お姉ちゃんに何て答えたんだっけ…?

『妹』は口を開いて、何かを言いかけ…そして言い淀む。
『姉』は優しく微笑むと、そっと『妹』の髪を撫で再び何かの言葉を口にする。

 あれ? アレ? 思い出せない… オモイダセナイ……



『妹』は…”彼女”は…私は…
あの時、何を聞かれ、何て答えたんだろう…?

思い出せない…思い出せないな……。


そして、”彼女”の前で幕が下りる…。


----------------------------------------------------------

…最悪の目覚めだった。

ついさっきまで、夢の世界の中では「これは夢なんだ!」と分かっていたはずなのに、
目が覚めた途端、今まで自分が寝ていたことも、はっきりと夢を夢として区別していたことも忘れてしまっていた。
一瞬、夢と現実の世界の境界があやふやになる。
今の自分がいるのは夢の中なのか現実の世界なのか、今の自分は10代の少女なのかそれとも…。
後者に関しては、あまりはっきりと思い出して現実を直視したくなかったんだが、まあ仕方ない。

霧生氷雨、28歳(自己申告)、今は遺跡の探索中でさっきまで体力回復のための仮眠を取っていた。
よし、大丈夫だ。頭ははっきりと動いている。
今、自分が目にしてる世界は…恐らく現実の世界だとは思うが、それを証明する手段はないし、
証明したところで何かがどうなるというわけでもないんで気にしないようにしよう。

『cogito, ergo sum.』 (我思う、故に我有り) …だ。
ん…ちょっと違うか?

しかし…何を今更こんな夢を見ているんだろうな、私は…。
もう思い出せないくらいの遠い昔の話のような気もするし、つい昨日の出来事のような新鮮ささえ感じてしまう。

何が原因でこんな夢を見たのか分からないが、正直、自分に腹が立つ。
”忘れられない”ことにではない。
自分の中で決着を付け、振り切ったとは思っているものの、過去の楽しかった思い出は消せないし、消すつもりもない。
それを否定してしまうことは自分自身でも出来ない。
だから、それに関しては…”あの人”と”姉”との思い出を忘れられないで夢に見たことは、別に腹が立つようなことでもない。

問題は…自分で認めてしまうのも、それこそ悔しいやら恥ずかしいやら情けないやらの気持ちでいっぱいなのだが…
最悪の目覚めだったと思う反面、夢の中で”あの人”に出会えたことを少しだけ幸せに感じていたという事実…だ。
…チクショウ。
何が悲しくてそんな”恋する10代の乙女”みたいな感情を思い出さなきゃいけないってんだ、全く…。

そんな自分の考えに若干の寒気と鳥肌を感じながら、少し冷静になった頭で先ほどの夢の内容を思い出してみる。
夢の中では、最後に姉が私にした質問も、それに対して私が返した答えも全く思い出せなかった。
だが、不思議なもので、目が覚めてみればはっきりとその時の記憶が残っていたことが確認できる。


そう…私はちゃんと覚えている。


あの日、姉の問いかけに私は答えを出す事ができなかった。
所詮、単なる子供の思いつきに過ぎないような質問だった。
何と答えようが、何を返そうが、それはただその場限りの単なる戯れにしか過ぎなかったのだろう。

それでも…。
あれから10年以上経った今でも、あの日の私の気持ちは痛いほどによく分かる。
恐らく…今でも多分答えは出せないのだと思う。

ふと、悪戯心が湧いて
(もしかすると、あの日の姉もこんな気持ちだったのかも知れないと今更ながらに苦笑いが零れる)
私は目の前に座っていた歩行雑草の少女に問いかける。

あの日の姉のように、少し意地悪そうに微笑んで…。
あの日の姉が投げかけた、単純でそして複雑な質問を…。


 「なあ…月草。
  もし…明日、突然この世界が崩壊するとしたら…どうする?」



突然の問いかけに不思議そうな表情を返す月草。
まあ、当然の反応だろう。
首をかしげ、しばしの間、何かを考えるかのように視線を泳がせて…そして、真っ直ぐに私の顔を見つめてきた。
少し照れたように微笑んだ彼女の手には、いつの間にか小さな花が一輪握られていた。
紫色の小さくて可愛らしい姿を持つその花の名は…。

 『ヘリオトロープ』

あの日、私が答えられなかった答え。
今も、まだ見つけられずにいた答え。
彼女は…それを迷わずに掴み取った。

彼女の小さな手に握られた小さな花。

ヘリオトロープの花言葉は…そう…確か…
私が思い出すのと同時に少女の口から答えが紡がれる。


 「あなたと共に…」


(to be continued)


******************
●つうかあ参加中●
******************
  1. 2008/05/26(月) 21:35:58|
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氷雨の偽講義(38日目)

Episode38



■ヒサメセンセイの偽講義の666時間目:ヒツギ先生ごめんなさい!

ある熱心なユダヤ教徒が神に祈った。

 「神様、うちの息子がキリスト教に改宗してしまいました。
  どうしたらいいでしょう?」

神様、答えていわく。

 「うちの息子もじゃ」



(not to be continued)
  1. 2008/05/11(日) 21:32:15|
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